EPISODE · Aug 24, 2026 · 14 MIN
解くべき問題ノベーション(1946回)
from 残間光太郎の"闘うものの歌が聞こえるか" · host kotaro zamma
今のコンピュータメモリ、通信、デジタル技術につながる「誤り訂正符号」の基礎を作った人物の一人である数学者リチャード・ハミングの講演「You and Your Research」を通じて、イノベーションのあり方について考えさせられました。曰く、“If you do not work on an important problem, it’s unlikely you’ll do important work.”「重要な問題に取り組まなければ、重要な仕事をすることはまずない。」しかしハミングは、単に大きな問題に挑戦しろと言っているわけではありません。“It’s not the consequence that makes a problem important, it is that you have a reasonable attack.”「結果の大きさが問題を重要にするのではなく、合理的な攻め方があることが重要なのです。」ここから、私は三つのことを思いました。1、重要な問題とは何か?2、合理的な攻め筋とは何か?3、なぜ重要な問題に取り組めないのか?1、重要な問題とは何か?我々がイノベーションへ取り組む際に、この問いはとても重要だと思いました果たして、我々が取り組んでいる問題は、重要な問題なのか?それを考える時に大切なのは、もしその問題が解けたとして、どんな素晴らしいことが待っているのか、それをあらかじめ考えておく、ということなのかもしれないなと思いましたよくあるのは、まずはやってみなければわからないじゃないみたいな話で、目の前の課題を解決することから、行動することが大事、という話を聞くこともありますとにかく行動してみる、ということは、悪いことでは全くないのですが、その先のゴールがなんなのか?を最初に考えておくことがとても大事だと思います我々が目指している世界は、こういうことなんだ、これができたら、こんなに素晴らしい世界が生まれるんだ、そしてそれは、たくさんの人たちを喜んでもらえるものになるはずだということを、少なくとも、どんな世界が開ける、その第一歩をやっている、というように考えておくことがとても大事だと思います私がいつもお話しする、イノベータリップルモデルにおける”パッション”から始まって、”仲間”と共に、誰かが喜んでもらえるものを作る、という最後の”大義”があるかどうか実は、そこまで考えて、自分自身が今やっていることを、意識している人というのは、少ないような気がしました自分がとくべき重要な問題はなんなのか?常に問い続けることが大事だと思いました2、合理的な攻め筋とは何か?しかし、重要な問題なら何でも取り組めばいい、というわけでもありません。ハミングは、タイムトラベルやテレポーテーション、反重力などを例に挙げています。実現すれば、とてつもないインパクトがあるけれども、そこに合理的な攻め方がなければならない。これは、言い方を変えれば、それは解ける問題なのか?(今ではなくとも)という問いなのかもしれないなあと思いました社会課題と言われているものが、10年前も変わらずにあり続けるというのは、実は、合理的な攻め筋が見えていないのかもしれないなあと思いますイノベーションや、何かのテーマの時に、自分として取り組む際に、とても大きな問題なのだけれども、果たしてそれは解ける問題なのか?という問いを自分にすることも、とても大事だと思います永遠の社会課題や、引用にある通りの、今の技術から考えて、到底実現できると思えないもの、道筋が見えていないものは、だからといって、道筋が完全に見えていなければ取り組むべきではない、ということではないと思います。大切なのは、「この方向からなら何かが見えるかもしれない」という、自分なりの攻め口、仮説を持てるかどうかなのだと思いました。だとすれば、それを、最初に見抜くことが大事だと思いました。もしろん、正解である必要はなくて、この攻め口なら、ヒントが見つかるかもしれない、そんな仮説が立てられるものではないといけないと思いました3、なぜ重要な問題に取り組めないのか?ハミングさんが調べたところによると、実は、重要な問題に取り組んでいる人ばかりではなかった、というところに、イノベーションや研究の難しさがあるのかもしれない、と思いましたイノベーションで言えば、実は、それが重要な問題なのかどうかでさえ、わかっていない、ということがたくさんあるのではないかと思いましたつまり、目の前にある解きやすい問題についつい取り組んでしまう、それは裏を返せば、重要な問題を突き止められていないから、そうせざるを得なくなってしまっている、ということも言えるかもしれないと思いました重要な問題を突き止めるということが、実は、最も重要にもかかわらず、そう簡単にはできないこと、だからだと思いますだからこそ、ジョンキーツさんが言われるところの、ネガティブケイパビリティのように、重要な問題がわからなくとも、とにかく、真の課題が突き詰められるまで、問い続けることができるかそれは、特に、期限が決まっているプロジェクトなどだと、本当に苦しい戦いになりますまずは、小さな成果でもいいから、成果を見せないと、何をしていただんだということになってしまうしかし、それを繰り返していたのでは、本当のイノベーションや研究は起こすことができない最後は、自分自身が、納得して、これは、とても重要な問題なのだ、と言えることを目指すということなのかもなあと思いましたそれは、本当にとくべき問題なのかこれは、ある意味、一生を左右することもあるかもしれないそれほど、重要な問いであると、思いました一言で言えば、解くべき問題ノベーションそんな話をしています参考:Richard Hamming「You and Your Research」(1986年3月7日、Bell Communications Researchでの講演)
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