EPISODE · Mar 8, 2026 · 22 MIN
この口から呪いの言葉を消してください(稲葉基嗣) – 哀歌 1:12–22
from 小山ナザレン教会 · host 小山ナザレン教会
2026年3月8日 四旬節第3主日説教題:この口から呪いの言葉を消してください聖書: 哀歌 1:12–22、ガラテヤの信徒への手紙 3:6–14、詩編 79、ルカによる福音書 6:43–45説教者:稲葉基嗣 -----この詩には、希望に溢れる言葉はほとんどありません。詩人が綴るのは、エルサレムの都がバビロニアの軍隊に攻め落とされた経験です。なぜ自分たちの都は破壊され、命を踏みにじられることになったのか。詩人にとって、自分たちの神に対する罪が原因だと思えてなりませんでした。その一方で、そんな風には受け止めきれない。複雑な感情を詩人は抱えました。だから自分たちの過ちを認めながらも、詩人は神に向かって訴えました(20節)。詩人は最後に、呪いの言葉を添えることで、最初の詩を終えています。彼らも懲らしめてください。私の背きの罪すべてについて私を懲らしめられたように。(22節)この呪いの言葉を発した詩人自身は、エルサレムの破壊を経験した被害者です。破壊と殺戮の記憶が鮮明すぎて、希望の言葉など紡ぐことができない。何とか乗り越えていくために、この詩人がたどり着いたのが、神に向かって哀しみを率直に伝え、敵への呪いの言葉を吐くことでした。哀歌に記されているこの呻きや叫び声に似たこの祈りは、耐え難い出来事を経験した時に人間誰もが経験するような現実といえるでしょう。この世界には、呻きや嘆きといった叫び声を引き起こすことが数多くあります。そして、呪いの言葉を引き起こすような出来事が悲しいほどにたくさんあります。哀歌の詩人は、私たちが心で覚える怒りを、沸き起こってくる呪いの言葉を神の前で吐き出し、枯れ果てさせる。そのような形でこの詩人の祈りは、私たちに寄り添おうとしています。「神に向かってその呪い言葉を吐き出せ。その怒りを、呻きを吐き出せ。神はあなたの抱えるそのすべてを受け止めてくれるに違いないから。」哀歌を後の世代へと受け渡してきた人々の切実な声が聞こえてくるかのようです。もちろん、この口に呪いの言葉が湧き上がらないことこそ多くの人の願いでしょう。でも、私たちの抱える罪や悪が原因となって、共に生きる人たちの間に、そしてこの世界に、嘆きや哀しみ、呻きや呪いの言葉を引き起こしています。使徒パウロはイエスさまが十字架にかけられて死んだことについて、キリストは、私たちのために呪いとなった(ガラテヤ3:13)と書いています。イエスさまが呪われた者とみなされ、十字架の上で死んだのは、私たちのこの口に呪いの言葉を引き起こす、あらゆる罪や悪の支配から、私たちを救い出すためでした。この世界全体から、人類全体から、神は呪いの言葉を消すために、イエスさまを私たちのもとに送ってくださったのです。
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