EPISODE · Apr 30, 2023 · 5 MIN
名残の桜
from よっしーの「今週のエッセイ」 · host 森田義夫
名残の桜 今年の桜は長い。最初の蕾は三月十日前後、四月十二日の今日もまだ花びらが残っている。花散らしの雨も風も何のその、潔さを忘れた名残の桜は何を語ろうとしているのだろうか。 例年ならば、一週間から十日で開花から葉桜まで堪能でき、最後は花嵐や花筏で、ゆく桜を惜しみながら酒を交わすのだろうが、今年の桜は何だかしぶとい。 天変地異に経済不況に政治閉塞、いよいよ国が崩壊する時がきている。この日本丸を飛び出していくのも一興かもしれないが、日本だけではなく世界的にも住みずらくなっているので、ここに留まって考えなければならない。国という概念を捨てなければならない時がきているのかもしれない。 アメリカの第三十五代大統領であるケネディが「祖国があなたに何をしてくれるかを尋ねてはならない。あなたが祖国のために何ができるかを考えて欲しい」と語りかけたのは、もう五十年程前になる。半世紀も過ぎると国の概念も国民の感情も世界の価値観もおのずと変わってくる。前半の文言は肯けるとして、後半の文言は今の私の感性に合わない。 日本という国を飛び出して、日本の中に違う国を打ち立てる。確かに日本という国の中には存在するのだが、日本の政治も司法も行政も立法も文化も慣習さえもその影響を受けない。治外法権的な自治国家、そこに住む人々は同じ価値観で結ばれており、兼愛と非戦を旨とする。何だか墨家思想に似てきたような気がする。 娘の声がする。私を呼ぶ声だ。ネットサーフィンならぬ夢想サーフィンは結論無きまま波打ち際まできてしまった。もう乗る波はこない。会社へ行くことにしよう。名残の桜は、今日もまた私を見送っている。残った桜も散る桜、散る前に為すべき事を考えなさいということなのだろうか・・・。
Embed this episode
Ready to play
名残の桜
No transcript for this episode yet
Similar Episodes
No similar episodes found.
Similar Podcasts
No similar podcasts found.