EPISODE · Jun 3, 2026 · 9 MIN
妻のタンブラーとカフェインの午後
from ハナボウズの山ログ · host ハナボウズ
水曜の午後四時半、台風が上陸した日。午前の大雨が嘘のように晴れた空の下、中島は切り日の休憩を軽トラの荷台で過ごしている。気分は二。やるべきことを数えると気が滅入るので、かわりに今日あってよかったことを思い返す。昼に家へ戻り、食器棚に眠っていた妻のタンブラーへあたたかいコーヒーを注いで持ってきた。アトリエの山の中、それを飲みながら岡恒の赤白の鋏で出荷前の調整をする。カフェインのおかげで、もう少し頑張れる気がする。荷台から見上げれば、昭和の初めに当時の地主が植えたメタセコイアの大木。葉はみな空の一方向へ伸びている。かつては荷台に立って高枝鋏で切り、切り枝として売っていた。水揚げも日持ちもよいのだが、届く範囲はもう乏しい。空き家にある伸ばせる梯子を使えば、また枝を落とせるかもしれない。問題は値づけだ。命がけで採るのだから、その分を価格に乗せ、売れたら切る——そういう順序にしようと考える。来週末は中之条ガーデンズのイベント。告知文も支度もこれからだ。昨日は妻とアルケミラをYハウスへ掘り上げ、雨に備えて簡素な雨除けをかけた。以前しっかり作ったときは強風で支柱ごと飛んでいった。近くには人の住む家も車もある。だから今度は、飛ばされたら飛ばされたでいい、運がよければ雨を防げる程度に。ノーガード戦法である。今のところ、まだ持ちこたえている。このあとはセダムの切り取りと直送便の調整・選別。花が萎れる前に、涼しい作業場へ運んでやらねばならない。ではまた。
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