EPISODE · Jun 29, 2026 · 6 MIN
【ライブレポート】B’z、全国アリーナツアー<FYOP+>横浜公演が放った膨大なエネルギー「それを持って帰って、また明日につなげます」
from Music News Japan · host keisuke horota
https://barks.jp/news/1074821 B’zが2026年4月11日の福井・サンドーム福井を皮切りに、10ヶ所20公演の全国アリーナツアー<B’z LIVE-GYM 2026 -FYOP+->を開催した。同ツアーより後半戦となる5月30日の神奈川・横浜アリーナ公演のレポートをお届けしたい。なお、BARKSでは後日改めて、松本孝弘のステージ機材を紹介する予定だ。アリーナ会場を揺らす圧倒的なギターサウンドやプレイの見どころについては、そちらの記事で詳細にわたってお届けしたい。 B’zは2025年11月12日に23rdアルバム『FYOP』をリリース。これに伴って11月15日から12月21日までドームツアー<B’z LIVE-GYM 2025 -FYOP->を開催した。ドームツアー<FYOP>からわずか4ヶ月後に行われたアリーナツアー<FYOP+>は、そのタイトル通りアルバム『FYOP』のリリースツアー続編であり、前回から短いスパンで再びツアーを行うことを決めた彼らの動きからは強い意欲が感じられるうえ、計20本におよぶアリーナツアー<FYOP+>もドームツアー<FYOP>と同じく、全公演ソールドアウトという動員力に圧倒されずにいられない。アルバムタイトルの“FYOP=Follow Your Own Passion (自分自身の情熱に従え)”という意味合いにふさわしい、B’zとリスナー双方の熱さを痛感させられる。 そして、5月30日および31日に開催された横浜アリーナ公演はステージ後方まで360度オーディエンスで埋め尽くされていて壮観。ライブ自体も非常に充実していて、B’zのモンスターぶりをあらためて感じさせた。 開演に向けて客席のテンションが徐々に高まっていく中、突然場内が暗転すると同時に荒々しいギターリフが鳴り響き、ライブはパワフルな「FAITH?」で幕を開けた。ステージ上は高さ4mほどのLEDスクリーンでぐるりと囲まれており、そのスクリーンに松本と稲葉の姿が映し出される。続く、メロディアスな「濁流BOY」のイントロと共にステージを覆っていたスクリーンが上昇、ついにその全貌が明らかになった。ステージのフロアは“+”を象りつつも、至ってシンプルだ。また、アルバム『FYOP』収録曲を連発しながら、広いステージを行き来してプレイする松本孝弘(G)と稲葉浩志(Vo)の姿はパワフルそのもの。B’zならではの力強さと華やかさを併せ持ったサウンドが心地いい。オーディエンスもオープニングから一体感に溢れたリアクションを見せて場内のボルテージが一気に高まったことが感じられる。 「B’zの…」とお馴染みの挨拶かと思えば、稲葉がステージ上を1周しつつ「B’zの…」を繰り返し、正面に戻ってきたところで「B’zのLIVE-GYMにようこそー!」と発した。この稲葉の挨拶で会場をいっそうヒートアップさせた後は、アーバンな雰囲気を持つヒット曲「ZERO」や躍動感が際立つ「おでかけしましょ」、ウォームなシャッフルチューン「love me, I love you」など、’90年代に発表された珠玉のナンバーが相次いで届けられた。キャッチーなメロディーをソウルフルに歌う稲葉のボーカルが圧巻。松本のギタープレイは、ソリッドなバッキングワークと味わい深くもテクニカルなリードプレイのマッチングで、この夜も最高だ。両者による上質なポップネスを打ち出したB’zの楽曲は、独自の魅力を湛えていると共に、時代を超えて輝きに満ちている。B’zのライブは楽曲を全く知らないリスナーでも楽しめることを良質な音楽に生で触れて実感した。 さらに、内面の強い意志を感じさせる稲葉のボーカルや松本のブルージーなギターソロが光る「今夜月の見える丘に」があまりにも素晴らしい。横浜アリーナを360度埋め尽くす超満員の客席がその豊かなサウンドに聴き入る姿は、6曲目にしてハイライトシーンのひとつとなった。 「皆さん、こんばんは。お元気でしたか? 久しぶりに横浜アリーナに戻って参りました。そして、今日このツアー<FYOP+>にようこそいらっしゃいました。ありがとうございます!」という挨拶から、稲葉が<FYOP+>の意気込みを語った。前述したように、このアリーナツアーは“FYOP”というワードを掲げ、2025年末のドームツアーから引き続き行われているもの。稲葉が、「持ってきていただいていますよね? パッション的なやつを」と問いかけると、割れんばかりの歓声がこれに応える。続けて「皆さんが持ってきてくださったパッション、そして我々のパッションを思いきりぶつけ合いたいと思っています。お互いにぶつけ合って最高のエネルギーを生み出して、それをみんなで持って帰りましょう」と語り、ステージと客席が自由に、最後まで思いっきり楽しむことを約束した。 稲葉の明るいMCでオーディエンスを沸かせた後は、エモーショナルな「ペインキラー」やレトロテイストが香る「鞭」が演奏された。ちなみに「片翼の風景」までの8曲はドームツアーでは披露されなかった楽曲であると同時に、そのセットリストの妙にも驚かされた。 さらに言えば、泣きのソロを堪能できた「ペインキラー」、レトロテイストが香る「鞭」などは、松本ならではのギタープレイ。これら多面性を見せながら、それが散漫さにつながることなく、逆に世界観を深めて強く惹き込むあたりは実に見事。それは楽曲の持つ完成度の高さに加えて、秀でた演奏力を備えているからこそ可能なこと。今回のアリーナツアーは、凝った演出を全面に押し出すというよりも、音楽をじっくり聴かせるアプローチでオーディエンスを深く魅了するアレンジやアンサンブル、そして個々の秀でたプレイが印象的だった。 ライブ中盤となる10曲目では稲葉とサポートメンバーによるアコースティック編成で、1990年リリースの「今では…今なら…今も…」を披露。これはドームツアーから続くレア曲コーナーでもある。抑揚を効かせながら熱く歌い上げるボーカルとアンプラグドサウンドは魅力的で、稲葉がエンディングで聴かせたホットでブルージーなブルースハープソロも聴き応えがあった。アンプラグドセクションを単なるライブのチェンジ・オブ・ペースで終わらせることなく、大きな聴きどころに仕上げたのはさすがといえる。 「今では…今なら…今も…」の演奏を終えると稲葉が松本をステージに呼び込み、『ミュージックステーション』のオープニングテーマでお馴染みのインスト「#1090 ~Million Dreams~」へ。耳に馴染み深い旋律と歌心に溢れた松本のギタープレイ。立体感のあるエモーショナルな楽曲構成が緻密な同曲は強烈な存在感を放つ名曲であり、その演奏が終わると同時に客席から大歓声と熱い拍手が湧き起こった。 稲葉がステージに戻るとロマンチックな「イルミネーション」を聴かせ、ここでバンドメンバーを紹介。「久しぶりの横浜アリーナですけど、どうですか?」と問いかけられた松本は「素敵」と答えて会場を盛り上げ、二人の掛け合いトークへ。 「皆さん知ってますか? ここ横浜アリーナは、出演者の駐車場から楽屋へ行く通路に、今まで横浜アリーナで演奏した人達の名前が書いてあるんです。’90年代くらいからずーっと書いてあるんだけど、それが最近グレードアップして写真入りとかになってね」──松本「ギターも飾ってあるよね?」──稲葉「そう。俺のギターも飾ってもらっている。…というか、そこを自慢したかっただけなんだけど(笑)」──松本 そして、二人の和やかなやり取りに続けて発せられた稲葉の言葉に会場が沸いた。それは、去年末からツアーとリハーサルを重ねながら、その合間を縫うように、ツアー中に新曲をレコーディングしたというもの。「そろそろいいかなということで、今日ここ横浜アリーナの初日で、一番新しい曲を皆さんに聴いていただきたいと思います」と新曲の「完全無欠」が披露された。 「完全無欠」は日本テレビ系『FIFAワールドカップ2026』テーマソングとして書き下ろされた新曲だ。選手たちが挑む夢、背負う思い、抱える苦しみ、勝敗を超えた先にある真理と、フィールドに刻まれる情熱、そこから生まれる愛を歌い上げた楽曲であり、同曲についてB’zは、「勝つ事が第一の使命とされる巨大な大会ではありますが、この現実を生きていく中で、勝敗の分かれ目のさらに先で、人と人が繋がりあえる世界であってほしいという願いを込めずにはいられませんでした。私たちに勇気と希望を見せてくれる選手たちに大きな拍手を送ります」とコメントしている。耳馴染みが良くライブ映えも抜群のナンバーは、新曲ながら客席から大合唱が起こった。それくらい強い巻き込み力を持つナンバーだ。 「皆さん、まだパッション残っていますか!?」という稲葉のアジテーションに続けて演奏された「FMP」、パワフルな「有頂天」を続けてライブは後半へ。なお、同曲イントロでは松本がDeep Purple「Smoke On the Water」のリフを弾く場面も。そして、オーディエンスとの熱いコール&レスポンスが繰り広げられた新曲「Heaven Knows」や、滑らかなギターソロがダンステイストをさらに増幅させて心地よい「Lair! Lair!」などが畳みかけるように演奏された。フィジカルなパフォーマンスを織り成しつつ情熱的な歌声を聴かせる稲葉と、ステージに力強く立って正確さと勢いを兼ね備えた良質なギターワークを展開する松本。強い存在感を発する両者の姿や爽快感を湛えたサウンドにオーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内の熱気はどんどん高まっていく。 加えて、後日公開するステージ機材紹介記事で詳細をお届けするが、ライブ後半ではギブソンの“moderne”や“71 Flying V Michael Shenker”といったステージ初お目見えのギターが連投されたことも、多くのギターファンの胸を躍らせたようだ。そして本編ラストを飾った「ultra soul」で盛り上がりは最高潮となり、場内を完全にひとつにまとめてB’zはステージから去っていった。 アンコールを求めるオーディエンスの熱烈な声と手拍子、そして自然発生的に起こったウェイブに応えて再度ステージに立ったB’z。稲葉がアコースティックギターを手に、松本と2人でプレイした胸に染みるバラード「その先へ」は、2番からバンドメンバーがINするというアレンジもドラマティック。松本が奏でるメロウなギターと稲葉のボーカルが生み出すエモーショナルな世界にオーディエンスが深く惹き込まれるワンシーンとなった。そして、ラストナンバーを前に稲葉が感謝を語った。 オーディエンスがステージに向かって放つ膨大なエネルギーと情熱を称賛し、「我々はそれを全身で浴びて、生まれ変わったような感覚です」と語った。「皆さん、それを持って帰ってください。我々もそれを持って帰って、また明日につなげます」という言葉は、今日、ここ横浜アリーナが最高の空間となった証であり、オーディエンスは万雷の拍手でこれに応えた。 この夜を締めくくるナンバーは、晴れやかさを湛えた「ミエナイチカラ 〜INVISIBLE ONE〜」。その最後には、爆発音とCO2の巨大な柱が噴出。オーディエンスは熱気と温かみに満ちた盛り上がりを見せ、会場に楽園を思わせる情景を描き出した。360度のオーディエンスに手を振りながら、笑顔を見せたメンバーは、B’zのライブの締めに行われるお約束の「せーの、おつかれ~!」の大合唱で、横浜アリーナ公演初日の幕を降ろした。 大がかりなステージセットやスペクタクルな演出を用いることなく、音楽を聴かせることを最重視し、さらに新曲を数多く散りばめたライブでオーディエンスを満足させたB’z。今回の彼らのライブに触れてあらためて感じたことだが、B’zの音楽は、抒情性や温かみを湛えながら、激しくエモーションにあふれている。その結果、彼らの音楽は人生そのものを感じさせてくれた。それが無数のリスナーを魅了し、長く愛され続けている大きな理由のひとつになっていることは間違いないだろう。優れた音楽性を備え、年を追うごとにさらなる磨きがかかっている二人だけに、まだまだ輝き続けることは確実といえる。そんな明るい未来を予感させる、素晴らしいライブだった。 取材・文◎村上孝之写真◎ ©︎VERMILLION, ©︎Dynamic […]
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