【ライヴレポート】Psycho le Cému、結成27周年記念公演で夢の再生を宣言「諦めはしない」 episode artwork

EPISODE · May 19, 2026 · 12 MIN

【ライヴレポート】Psycho le Cému、結成27周年記念公演で夢の再生を宣言「諦めはしない」

from Music News Japan · host keisuke horota

https://barks.jp/news/1066757 Psycho le Cémuが、2026年5月3日の結成27周年記念日に実施したライヴ<27th Anniversary Special Live「Psy西遊記」>は、2004年1月3日の東京BAY NK HALL公演<Psy遊記>の完全再現だった。なぜこのタイミングでこの内容を? その答えはライヴを通じて明らかになり、彼らがそこに込めた熱い思いもしっかりと伝わってくるステージとなった。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。 このスペシャルライヴに選ばれた会場は、東京・大手町三井ホール。ビジネス街のオフィスビル内というシチュエーションに加え、この日はゴールデンウィーク真っただ中で、会場周辺は閑散としている。さらに整然とした内装は、ロックバンドのライヴが行われるとは思えぬ落ち着き。そういった環境が影響したのかどうか、SEからナレーションに続き、お芝居で幕が開くオープニングに、さすがのサイコ野郎(Psycho le Cémuファンの愛称)も座席から立ち上がるかどうか一瞬とまどったようだ。 けれども、天竺を目指す三蔵法師に扮するYURAサマと、猪八戒のAYA、沙悟浄のseekが姿を見せれば、元祖コスプレバンドの異名に相応しいなりきりぶりと、最近の大人っぽい衣装とは異なるキュートな魅力に歓声が沸く。 登場人物から推測できるように、<Psy遊記>は『西遊記』をもとにした物語り。天竺に辿り着くために必要な“天・地・水・火・風”の五つの力のうち、火の力を持つ龍王に扮したLidaが加わった後、主人公の孫悟空・DAISHIがステージ中央の大きな岩から登場。5人が揃ったところで「激愛メリーゴーランド」の演奏が始まった。全体的に若干スロースタート気味の印象を受けたが、物語は続き、孫悟空が風の力を持つ者と判明し、天竺への旅を照らすべく「Prism」へ。そして、ダンスを繰り広げていたAYAとYURAサマも楽器を手に、定位置に着き、ここからいよいよロックバンドとしての本領が発揮される。 「この曲を贈ります」というDAISHIの言葉から始まったのは、「愛の唄」。2002年に発売されたデビュー曲であり、Psycho le Cémuに欠かせない名曲だ。まっすぐな歌詞を持つラブソングは、その素直さがPsycho le Cémuというバンドの個性を増幅させる。さらに「春夏秋冬」が始まると、トラブルがあったらしいAYAも歌を口づさみながら笑顔。心地よい軽快なシンコペーションとともに「輝きの中へ…」(2003年発表)へ続く。タイトルどおり、キラキラした輝きを放つステージは、デビューと同時にライヴハウスからお茶の間へと一気に駆け上がった当時の若々しい彼らを思い起こさせる。 そんな輝きから一転、辺り一面を黒々と塗り潰すように「漆黒のゲルニカ」が始まった。座席ありのフロアだが、観客は体を折りたたむように激しく動き、サウンドに身を任せていく。そして、「行くぜ、東京!」とseekが吠えて「Mind Core」へなだれ込み、さらにお馴染みの「聖~excalibur~剣」へ。ドラマチックな楽曲が描く王道ぶりもPsycho le Cémuらしさ。ここまでの8曲で、あっという間に一部が終了した。 二部の開始をワクワクしながら待ち受ける客席へ、龍王のLidaが天馬に変身し、その馬上で三蔵法師のYURAサマが手を合わせながら、ご一行が登場。馬の手綱は孫悟空のDAISHIが握り、通路を縫うようにステージへ向かう姿は、高僧と信者や弟子たちとの行脚のよう。そして、ステージに5人が揃ったところで、天竺へと向かう途上のドタバタが始まる。小さな子どもが喜びそうな下ネタも交えた内容に会場が沸く。さすがにこの内容は、現在の彼らから生まれないかもしれないが、西遊記のコスチュームに身をまとえばなんなく自分たちのものにできるところはさすが。 逆に、歳月を経たからこそ、お芝居に新たな解釈をもたらしたのでは?と胸を打たれた。孫悟空のDAISHIが変身の術を使って、仲間割れした4人を仲直りさせるのだが、それがDAISHIの所業にもるものだと気づかないYURAサマやAYAから小馬鹿にされ、叱られてしまう。それでも孫悟空は自分の功績を口にしない。そんな姿が、もともとバンドの中心人物でありながら、今では年下のメンバーからもいじられるようになり、それでいてしっかりとバンドの要を担う現在のDAISHIの姿と重なったと言えば、深読みしすぎだろうか。過去に過ちがあったからこそ、DAISHIは何よりもPsycho le Cémuとメンバーを大切に思っている。メンバーと一緒にいるときにDAISHIがいつも浮かべている笑顔には、きっと深い特別な感情があるだろう。そんな思いが、笑いあふれるお芝居を見ながらよぎった。 デビュー後の4枚目のシングル「浪漫飛行」(米米CLUBのカバー)をアカペラで聴かせた後は、いよいよ後半戦ね。フォーメーションを華やかに変化させる5人のダンスが繰り広げられた「DANCE II HEAVEN」、YURAサマのツインヴォーカルが映える「AREA」と、Psycho le Cémuの個性を散りばめていく。物語の舞台・中国にちなんで「ニーハオ」という挨拶から始まったのは、恒例のAYAのMC。いつもの「~ナリ」ではなく、「~ブー(ブタゆえ)」というキャラにちなんだ語尾のせいか、その可愛さもひとしお。27年にわたって女形を続けているというのも、改めて考えるととんでもない才能だろう。 ワイワイにぎやかな雰囲気をガラッとロマンチックに変える「この星に願いを…」が流れれば、優しく包み込むような歌声が広がっていく。そしてまた一転、観客みんなで一緒にジャンプして会場を揺らした「一億のパルチザン」へと目まぐるしく会場の空気が変化していく。その後に続いた「With」は、ベタと言ってもいいぐらいストレートな歌詞をはじめ、彼らのわかりやすさをぎゅっと凝縮したような一曲だ。加えて味わい深いギターソロを聴かせるのがAYAらしい。 終盤戦はもちろん熱く激しく盛り上がっていく。「銀狼」が始まれば、観客はここぞと言わんばかりに激しいヘドバンを繰り出すなど、座席から立ち上がるか迷っていた冒頭など嘘のよう。「LAST EMOTION」が始まるとseekは観客に負けじとステージから客席へ。通路を駆け出し、観客と視線を交わし、触れ合い、全身でこの空間と瞬間を味わい尽くす。広い空間には熱気が漂い、ロックバンドのライヴ会場と化していた。 本編最後は、これまたお馴染みの「Murderer・Death・Kill」。もはや何度踊ったかわからないであろう振付を、23年の歳月を経てまた踊っている不思議。懐かしくも幸せな気持ちに包まれて、本編が終了した。 アンコールでは、メンバーひとりひとりが27周年を迎え、<Psy遊記>を再現した思いを口にしていく。seekは「当時の自分たちと向き合う時間になった」と予想以上に感慨深かった様子。「23年のときの流れを感じつつも、この格好に時間の経過を感じない」としみじみ当時を振り返るLidaに、DAISHIが「ツイキャスでやってもらっていい?」と混ぜ返す。幼馴染ゆえのじゃれ合いは、会場の空気をさらに和ませる。そしてYURAサマは、「これだけの時間を経ても同じように盛り上がれるものをつくれていることを誇りに思う」と語った。 そして、この日のライヴ内容を提案したAYAからは、「前コンセプトである“シャクティシャクティアスティ”の舞台がインドだったことから、中国が舞台の<Psy遊記>を選んだ」と説明。さらに、「BAY NK HALLがPsycho le Cémuにとって最大キャパの会場であり、そこをソールドアウトして日本武道館への道を進むことを願っていたが、叶わなかった」と過去を振り返った。改めて日本武道館を目指している今だからこそ、2004年1月3日のライヴを再現することが、2026年現在の彼らには必要だったのだ。そしてそんなライヴをソールドアウトできたことは、大きな自信につながったことだろう。 最後に贈られたのは、「REMEMBRANCE」。大きな空が目に浮かぶような心地よい感覚を味わいながら、サビを繰り返し合唱する。この美しい光景は、きっとPsycho le Cémuの未来につながっていく。2004年、一度は目の前まで近づいた憧れの舞台・日本武道館は、夢のまま潰えた。けれども、27周年を迎えたこの日の光景は、必ずや日本武道館へと続いているはず。 「REMEMBRANCE」には、“夢は幻じゃなくて”という歌詞がある。seekは、「このライヴを経て、この歌詞の意味が変わった」と口にしていた。漠然とした夢ではなく、リアリティのある夢として、日本武道館は再び彼らに近づいている。もちろん、これからより多くの人たちがPsycho le Cémuの魅力に改めて、もしくは初めて、気づく必要があるだろう。けれども、現在の彼らをもってすれば、それはきっと幻なんかじゃない。27周年を見届けたサイコ野郎とともに、夢が叶う瞬間に立ち会いたい。 取材・文◎村山幸撮影◎Sayaka Aoki(PROGRESS-M) ■<27th Anniversary Special Live「Psy西遊記」>5月3日(日)@東京・大手町三井ホール […]

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