EPISODE · May 30, 2025 · 1H 9M
S2#32 バレたくなかった話
from 666666RADIO · host 666666RADIO
Remi’s Social mediahttps://www.instagram.com/piumaneri/愛と税金とオレジの皮――裏切りより苦いのは、レモンか、オレジか。バー「果汁100%」は、夜になると静かに灯る。マスターのガン太は無口な男で、元・税理士。過去に顧客の愛人とのスキャンダルがバレて廃業したが、税金への恨みだけは今も胸に生きている。その横で、やたら声がデカく、色気のないスーツに身を包むオレジがカクテルを振っている。柑橘系男子を名乗りつつ、最近「果汁10%」と陰で呼ばれているのに本人だけが気づいていない。そこへ毎晩やってくるのが、常連のレーナ。営業帰りにスーツのまま、カウンターで「男ってさ、バカよね」と笑うその姿に、ガン太もオレジも、胸の何かを絞られていた。三人の関係は、言うならば“沈黙の三角関係”。ガン太は言えず、オレジは見せびらかし、レーナは火をつけて、どこかへ去る。そんなある夜、レーナが言った。「ねぇ、今日、どっちかに決めようと思うの」カウンターが凍る。ガン太は手元のグラスを、オレジは自分の髪型を気にしていた。「ガン太も、オレジも、それぞれ魅力的なのよ。 だけど、やっぱり私は……」そのとき、ドアの奥からひょっこり顔を出したのは、会計係のミカ。ボブヘアに無表情。愛想はないが、計算は早い。レーナが笑った。「……私は、ミカにする」「……は?」「私ね、女の子の方が合ってるって最近気づいたの。ミカとは、もう1ヶ月くらい…その、ね?」沈黙。ガン太はグラスを落とした。オレジは鏡で自分の顔を見た。なんでこんなにツヤがないのか、と。「……俺の皮、全部むかれてたんだな」「愛も、税金も、控除されるんだな……」ミカが一歩、前に出る。「ちなみに、レーナの保険も私が組んでます。愛も金も、既に確保済みです。」レーナが笑って言う。「これからは、果汁100%の女だけの夜会、始めるから」男たちは、ただカクテルを振るだけの果物となった。酸っぱいのは、レモンか、それとも人生か――。
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