EPISODE · Apr 26, 2026 · 6 MIN
散った桜と、個体差の話
from ハナボウズの山ログ · host ハナボウズ
石のベンチは冷たかった。四月末の山は、まだそういう朝を持っている。出荷を終え、ハウスを開け、植えたばかりのラムズイヤーとエキナセアに水を引く。曇天の日の換気は加減が難しい。焼けさせず、しかし蒸らさない程度に。気分スコアは1。娘の鼻詰まりで夜眠れなかった。けれど前の日の午後、その娘はプチ発表会のステージに立っていた。三歳から中学生まで、みんなが同じ振り付けで踊るのを特等席で見ながら、中島は農業に近い何かを感じていた。体格が違えば、重心が違う。筋肉の記憶のされ方が違う。その人にしか出ない動きが生まれる——品種の個体差と、ほとんど同じことだと思った。帰宅後は家族三人でレジェンドダンサーの動画を見て、夜はみんなで踊った。プリエの練習もした。午前中はこれから、集落の電牧の補修作業に加わる。午後は体力次第で、株分けと種まきができれば。Kの畑の桜は散り終え、セダムの株間に花びらが積もっている。春が、一段落しようとしている。
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