石油危機が問い直す世界の脱炭素政策 【海外シンクタンク記事分析】 episode artwork

EPISODE · May 18, 2026 · 1H 7M

石油危機が問い直す世界の脱炭素政策 【海外シンクタンク記事分析】

from PEP Talk - 社会の本を深掘り! · host 政策起業家プラットフォーム

「石油危機」は、脱炭素政策を止める理由になるのでしょうか。それとも、化石燃料への依存を減らす理由になるのでしょうか。今回のテーマは、「石油危機が問い直す世界の脱炭素政策」です。世界の電力転換、気候外交の再設計、グローバルサウスのエネルギー移行を扱う3本の記事をもとに、化石燃料ショックの時代に脱炭素政策をどう位置付けるべきかを考えます。■キーワードクリーン電力:太陽光・風力が需要増を吸収/再エネが石炭を上回る/送電網・蓄電池・市場制度気候外交:地政学が協力条件を再定義/クリーンエネルギー安全保障/資金動員と連合の再設計石油危機:ホルムズ海峡リスク/グローバルサウスの脆弱性/重要鉱物と国家能力■今回のトピック[01:39] 再エネが担う電力需要増 — 化石燃料を増やさずに成長できるのかEmber のレポートをもとに、2025年の世界の電力転換を取り上げます。昨年度、世界の電力需要増のほとんどを太陽光発電と風力発電が吸収しました。低炭素電源の増加量も、世界の電力需要増を上回りました。本エピソードでは、再生可能エネルギーが電力需要の伸びを支える中心技術になりつつあることを議論しました。再エネが石炭を上回ったことも、大きな転換点です。一方で、昼間の太陽光を「いつでも使える電力」に変えるには、送電網、蓄電池、市場制度の整備が欠かせません。クリーン電力をどれだけ早く整えられるかは、将来の製造業や立地戦略にも関わります。出典: Ember, "Global Electricity Review 2026" https://ember-energy.org/latest-insights/global-electricity-review-2026[23:25] 気候外交の構造変化 — 地政学が協力の条件を変えるE3G の記事をもとに、気候政策が地政学と切り離せなくなっている状況を取り上げます。気候政策は、環境政策の一分野にとどまりません。エネルギー安全保障、貿易、産業政策、開発金融と結び付き、国際秩序そのものに影響を及ぼす政策領域になっています。本エピソードでは、中東の対立、エネルギー市場、貿易ルート、インフレ、米国政府の気候協力からの後退、中国の供給網支配が、気候協力の条件を変えていることを議論しました。クリーンエネルギー安全保障、開発金融、気候資金、官民連携、COPやG7を通じた連合形成を、どのように設計し直すかが問われています。出典: E3G, "Geopolitics and climate cooperation for a world in flux" https://www.e3g.org/news/geopolitics-and-climate-cooperation-for-a-world-in-flux/[43:32] 石油危機が移行を試す — グローバルサウスの国家能力New Security Beat の記事をもとに、2026年の石油危機を、グローバルサウスにおけるエネルギー移行のストレステストとして捉えます。本エピソードでは、フィリピンの事例を通じて、燃料輸入への依存、再エネ導入の遅れ、重要鉱物の加工能力不足、規制能力の弱さが同時に表面化していることを議論しました。フィリピンにはニッケル資源がありますが、国内で電池材料へ加工する力は十分ではありません。一方、インドネシアはニッケル加工を国内に取り込みました。ただし、その加工工程の多くは石炭火力に依存しています。産業化が進んでも、低炭素化と結び付かなければ、環境負荷を別の場所に移すだけになりかねません。石油危機は脱炭素を遅らせる理由ではなく、再エネ、電化、低炭素の鉱物加工、送電網、公共交通、社会保護を一体で設計する理由になります。出典: New Security Beat, "A New Oil Crisis Stress-Tests the Global Energy Transition" https://www.newsecuritybeat.org/2026/04/a-new-oil-crisis-stress-tests-the-global-energy-transition/■PEP ThinkとはPEP Think は、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら:https://www.youtube.com/channel/UCT3kLHNfQJpO9gBAmAj3Bpg■登壇者馬田 隆明(PEP ディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP):https://peplatform.org/公益財団法人 国際文化会館:https://ihj.global/

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