EPISODE · Jun 7, 2026 · 6 MIN
鴨川
from 余白の朗読室 · host tosusia
noteでも公開しています鴨川 一緒に暮らし始めて、もうすぐ一年になる。けれど、二匹はまだ仲良しというほどではなかった。 鴨川の河川敷に出ると、二匹は並んで歩き始めた。リードが絡まった。解こうとすると、また絡まった。どちらも嫌がらなかった。 歩き始めると、母子の自転車が横を通り過ぎた。カゴのぬいぐるみが揺れて飛び出しそうになった。二匹が鼻を向けた。リードを引いて止めていると、後ろの娘が振り返って、わんわんだ、と言った。 草むらに二人の女性が寝そべっていた。二匹が近づきすぎて、驚かせてしまった。謝りながら引き離した。 ハンバーガーを食べているカップルがいた。可愛い、と二匹を見て話していた。五十代くらいの女性たちが、仲良さそうに並んで歩いていた。水辺では家族連れが騒いでいた。鴨川での過ごし方は、思い思いだった。 この川は昔から変わらない、と思った。最初は二人で歩いた。子供が生まれてからは、子供たちと一緒に来た。走り回る子供たちを追いながら、飛び石を渡りたがる子供たちの後ろで、妻と手をつないだ。あの飛び石は、まだ同じ場所にある。 大きな犬が向こうからやってきたとき、二匹は同時に後ろに回った。妻の足元で、肩を寄せ合うようにして、同じ方向を向いていた。 妻が笑った。 最初の頃は目が合うだけで唸った。食器を並べれば片方が割り込んだ。距離が縮まってきたとは思う。それでも二匹は、そんなことはもう忘れているようだった。鴨川の風の中で、ただ並んで歩いていた。 家に帰ればまた、お互いにすんとするのだろう。そう思いながら、来た道を戻った。散歩のたびに思うことだが、今日もいい散歩だった。
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