EPISODE · Sep 2, 2026 · 1H 1M
自給か輸入か、ではない——食料安全保障を捉え直す 【海外シンクタンク記事分析】
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食料安全保障を考える際、国内でどれだけ生産するのか、海外からどれだけ輸入するのかという対比だけでは、平時の価格や危機時の供給能力まで十分に捉えられません。今回のエピソードでは、「自給か輸入か、ではない——食料安全保障を捉え直す」をテーマに、国内の生産能力、輸入先の分散、備蓄、平時からの官民の備えを取り上げます。一本目では、日本のコメ価格上昇を手がかりに、家計が食料を購入できることと、危機時にも国内で生産できる能力をどう両立するかを考えます。二本目では、中国による国内生産の強化、輸入先の分散、備蓄が、世界の食料市場や主要生産国に及ぼす影響を検討します。三本目では、国内生産と国際調達を組み合わせながら、備蓄や設備、費用負担、情報共有、官民連携といった備えを平時から維持する仕組みを考えます。3本を通じて、自給率だけで食料安全保障を捉えることの限界と、国内に残す生産能力、海外からの調達、備蓄の水準、それらを平時から支える主体まで含めて考える必要性を議論します。■キーワード食料安全保障/食料自給率/生産能力/輸入先分散/備蓄/食品アクセス/官民連携/ストレステスト00:00 イントロダクション01:10 日本のコメと食料安全保障 — 平時の価格と危機時の生産能力19:30 中国の食料戦略 — 世界市場への影響と調達の変化39:16 平時から備える食料供給 — 官民連携と費用負担■今回のトピック01:10 日本のコメと食料安全保障 — 平時の価格と危機時の生産能力CSISの記事をもとに、日本のコメ価格上昇と食料安全保障を取り上げます。記事は、国全体で食料を供給できることと、一つひとつの世帯が必要な食料を購入できることを分けて捉え、自給率そのものよりも、危機時に使える農地、農業者、技術といった生産能力を維持することを重視します。また、コメ価格を高く保てば消費者の負担が増え、価格を下げれば農家の所得を圧迫するという問題を整理しています。本エピソードでは、平時、数週間から数か月程度の供給不足、長期的な輸入途絶という時間軸の違いによって、必要な対応が変わることを議論しました。さらに、生産能力を農地面積や農業者数だけで評価せず、農業用水、種子、肥料、機械、加工、保管、輸送まで含め、必要な時期に実際に増産できる状態として把握することや、農家所得を価格以外の制度で支える場合の移行手順について考えました。出典:Center for Strategic and International Studies (CSIS), "Rice at a Crossroads: Rethinking Japan’s Food Security"https://www.csis.org/analysis/rice-crossroads-rethinking-japans-food-security19:30 中国の食料戦略 — 世界市場への影響と調達の変化Chatham Houseの記事をもとに、中国が進める国内生産の強化、輸入先の分散、備蓄、輸送経路の整備などを取り上げます。記事は、中国の食料安全保障を国内生産だけで捉えず、輸入や備蓄を組み合わせた政策として整理しています。また、中国の輸入需要が長期的に減少すれば主要生産国には調整の時間が生まれる一方、国内の不作などで輸入が急増する可能性や、中国の政策変更が農産物価格、土地利用、生産国の農家所得、物流投資に影響を及ぼす可能性も指摘しています。本エピソードでは、大豆、小麦、食肉など、品目によって国内生産と輸入をめぐる条件が異なることや、中国の輸入減少の速度について複数の見通しがあることを議論しました。また、生産国が不足時にどこまで追加供給できるかという供給弾力性、中国の備蓄や需要変化の予見可能性、森林破壊などの環境負荷が別の地域へ移る可能性を取り上げました。さらに、日本の政府や企業が複数の調達先との関係や長期契約、物流への投資をどう維持するかについて考えました。出典:Chatham House, "Can the world benefit from China’s quest for food security?"https://www.chathamhouse.org/2026/07/can-world-benefit-chinas-quest-food-security39:16 平時から備える食料供給 — 官民連携と費用負担査読誌Agricultural and Food Economicsに掲載された論文をもとに、食料供給への備えを危機発生後の対応に限らず、平時の事業運営や政策にどう組み込むかを取り上げます。論文は、企業が非常時のための在庫や設備を維持するには費用がかかる一方、行政側にも政策分野の分散や時間軸の違いといった問題があると整理します。そのうえで、重要事業者への最低基準、官民による備蓄、費用を分担する財政手段、国内能力と安全な国際貿易の組み合わせなどを提案しています。本エピソードでは、何をどの水準で維持すれば備えが十分と評価できるのか、設備や在庫などの対応能力と、危機時にも実際に食料が届いたという成果をどう区別するかを議論しました。また、企業自身が負担する事業継続のための備え、公的負担の根拠がある備え、重要事業者に求める最低限の義務、食料を購入できない世帯への支援を分けて考えました。さらに、ストレステストや定期的な利用可能性の確認を通じて、平時から供給能力を維持する仕組みについて検討しました。出典:Agricultural and Food Economics, "PREPARE: a theoretical framework to improve food supply security in highly privatised and fragmented food systems"https://link.springer.com/article/10.1186/s40100-026-00507-5■PEP ThinkとはPEP Thinkは、世界のシンクタンクの最新の論考を手がかりに、日本のビジネスと政策のこれからを一緒に考えていく番組です。■YouTubeでも配信中PEP のYouTubeチャンネルはこちら■登壇者馬田 隆明(PEPディレクター)■主催政策起業家プラットフォーム(PEP)公益財団法人 国際文化会館
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