オーディオドラマ「五の線2」

PODCAST · fiction

オーディオドラマ「五の線2」

【1話から全部聴くには】http://gonosen2.seesaa.net/index-2.html 熨子山連続殺人事件から3年。金沢港で団体職員の遺体が発見される。他殺の疑いがあるこの遺体を警察は自殺と判断した。相馬は、その現場に報道カメラのアシスタントとして偶然居合わせた。その偶然が彼を事件に巻き込んでいく。石川を舞台にしたオーディオドラマ「五の線」の続編です。※この作品はフィクションで、実際の人物・団体・事件には一切関係ありません。 【公式サイト】 http://yamitofuna.org

  1. 100

    129 【お便り紹介】

    おたより.mp3五の線2終了直後(2017年)に頂いていたお便りに今更ながらの返信です…。よかったらお聞きください。成田ナオさん/hachinohoyaさん/踊る屍さん

  2. 99

    128.2 最終話 後半

    126.2.mp3「12月24日お昼のニュースです。政府は24日午前、2015年度第3次補正予算案を閣議決定しました。今回の補正予算は今年10月に国家安全保障会議において取りまとめられた「日本国の拉致被害者奪還および関連する防衛措置拡充に向けて緊急に実施すべき対策」に基づいた措置を講じるためものです。この予算案では先ごろ国内で発生したツヴァイスタンの工作員によるテロ未遂事件を受けてのテロ対策予算の拡充として500億円。ツヴァイスタンに拉致された疑いがある特定失踪者の調査費とし..

  3. 98

    128.1 最終話 前半

    126.1.mp3コミュの会場となった会館前には複数台のパトカーが赤色灯を灯して駐車していた。会館には規制線が敷かれ関係者以外の立ち入りは厳禁となっている。週末金沢駅の近くということもあって、このあたりで仕事帰りに一杯といった者たちが野次馬となって詰め寄せていた。規制線の中にある公園ベンチには、背中を赤い血のようなもので染め、遠くを見つめる下間麗が座っていた。「ついては岡田くん。君にはこの村井の検挙をお願いしたい。」「罪状は。」「現行犯であればなんでもいい。」つばを飲み込んで..

  4. 97

    127.2 第百二十四話 後半

    125.2.mp37時間前 12:00「1512室ですか?」「はい。」「失礼ですがお名前をお願いします。」「岡田と言います。」「岡田様ですね。失礼ですがお名前もいただけますか。」「圭司です。」「岡田圭司様ですね。しばらくお待ちください。」ホテルゴールドリーフのフロントの女性は受話器を取って電話をかけはじめた。「フロントです。ロビーにお客様がお見えになっています。はい。ええ男性です。岡田さんとおっしゃるそうです。ええ。はい。かしこまりました。それではお部屋までご案内致します。」..

  5. 96

    127.1 第百二十四話 前半

    125.1.mp3金沢駅近くの会館。この一階の大ホールに大勢の人間が集まっていた。コミュの定例会である。参加者は先日のものより数段多い。これも岩崎香織が電波に乗った効果なのだろうか。「みなさん。こんばんわ!」司会者が参加者に向かって大きな声で挨拶をするとそれに参加者は同じく挨拶で応えた。「いやー今日は随分と参加者が多いですね。特に男性の方がいつもより多い気がします。」彼がそう言うと参加者はお互いの顔を見合った。「やっぱりなんだかんだと言ってテレビの影響力ってすごいんですね。試..

  6. 95

    126.2 第百二十三話 後半

    124.2.mp3「若林くん。朝倉部長に聴かせてあげろ。」「はい。」携帯電話を取り出した若林もまた、応接机の上にそれを置いた。「工夫しろ若林。」「あまり事を荒立てるなといっただろう。」「ですが、あまりに突然のことでしたので。」「その後の工夫が足りんと言ってるんだ。」「はっ。もうわけございません。」「しかしお前は籠絡だけは上手い。」「ありがとうございます。」「だが程々にしておけよ。あまり深入りすると足がつく。」「何せ公安の奥方ですからね。」43音声を聞いた片倉の表情が変わった。..

  7. 94

    126.1 第百二十三話 前半

    124.1.mp3ドアをノックする音「来たか。」朝倉はドアに向かって部屋に入るよう言った。長身の男がドアを開け、ゆっくりとした動作で部屋に入ってきた。「え…。」片倉の存在に気がついた男は思わず立ち止まった。「なんでお前がここに…。」「これは…どういうことなんや…。」「部長。これはどういうことですか。」男は不審な顔で朝倉を見るが彼は意に介さない。「片倉。この男に見覚えがあるだろう。」「…え…。」「紹介しよう。直江首席調査官だ。」朝倉は直江に片倉に挨拶をするよう促した。「…直江真..

  8. 93

    125 第百二十二話

    123.mp3霞が関合同庁舎の前に立った片倉は、登庁する職員に紛れていた。皆、言葉も何もかわさずただ黙々と歩き続ける。立ち止まった彼はおもむろに携帯電話を取り出して電話をかけた。呼び出し音「片倉です。おはようございます。」「おはよう。いまどこだ。」「公庁の前です。」「なに?予定は15時だぞ。」「なにぶん不慣れな東京です。昨日の夜金沢出て車で休み休み来ました。」「車?」「はい。これがあと半年先ですと北陸新幹線で2時間半とちょっとでここに来ることができたんかもしれませんが。」「北..

  9. 92

    124 第百二十一話

    122.mp3「下間確保しました。」「了解。」「これからマサさんと下間の通信手段を抑えます。」「わかった。くれぐれもホンボシに感づかれないように注意しろ。」「了解。」土岐は無線を切った。「いい流れだね。」「はい。」県警本部長室の中には各種無線機が並べられ、数名の捜査員が詰めている。その中で本部長の最上と警部部長の土岐は向かい合うようにソファに掛けていた。「七里君は?」「安全なところに匿っています。」「江国は?」「情報調査本部の取調室です。今川逮捕と橘刑事告発の話を聞いてシステ..

  10. 91

    123 第百二十話

    121.mp3「ご苦労さん。トシさん。今どこや。」「病院や。」「傷は。」「幸い大した事ない。」「…良かった。いきなりガサッっていってトシさんうめき声出すんやからな。」「ふっ。ワシも長いサツカン人生で撃たれたのは初めてやわいや。こんでしばらく手は上がらん。」「痛いんか。」「あたりめぇや。だらほど痛いわ。」「ほんだけ元気があるんやったら、すぐにでも復帰できそうやな。」片倉は煙草を咥えた。「トシさんを撃って、すぐさま鍋島の頭を撃ち抜く。悠里のやつここまでの腕を持っとったとはね。」「..

  11. 90

    122 第百十九話

    120.mp3「こいつとお前を殺す。」銃口を向けられた古田は微動だにしない。「…心配するな一瞬だ。」「ふっ…。」「なんだ。」「最後の最後でチャカか。あ?鍋島。」「なんだてめぇ。」「お前は散々人を殺めた。その手口は全て絞殺もしくは刺殺。チャカは使わん。そんなお前がここにきてチャカを手にした。」「だから何なんだ。」「相当切羽詰まっとれんな。」「うるさい。」古田は右拳を鍋島に向けて突き出した。「あん?」「鍋島。これに見覚えがあるやろ。」そう言うと古田は握りしめていた右手を開いた。そ..

  12. 89

    121.2 第百十八話 後半

    119.2.mp3「えっ?何やいまの声…。」職員室の応接ソファーに座っていた相馬が声を上げた。「追い詰めとるんや。」「え?」相馬達の輪の中にひとりの中年男性が居た。ぱっと見は社会科の先生のようである。「佐竹と古田。この2人が鍋島の頭ン中を引っ掻き回しとる。」「頭ン中を引っ掻き回す?」「ああ。鍋島は普通じゃねぇ。普通じゃねぇ奴を相手にすっときはこっちも普通じゃねぇ感じでいかんとな。」「でも…。」相馬はあたりを見回した。物々しい無線機材が並び、スタッフが何かの指示を出している。「..

  13. 88

    121.1 第百十八話 前半

    119.1.mp3「さ…さたけ…。」鍋島の後方2メートルで木刀を手にした佐竹はサングラスをかけている。「頭が痛いか?鍋島。」自身の頭部を手で抑える鍋島を佐竹は遠い目で見つめた。「別に…。」「まぁ…お前に破滅に追い込まれた人間に比べれば、その痛みはクソみたいなもんだから我慢しろ。」「て…てめぇ…。」「その頭、昔っから出来が良かったよな。」「あ…ん?」「出来が良すぎて、一色の教えることすんなり覚えて、日本語も上達して、俺らなんかより難しい本読むようになって、テストでもいつも俺らよ..

  14. 87

    120.2 第百十七話 後半

    118.2.mp3北高の校門を潜ると、そこには職員のものと思われる車が何台か並んでいた。その中の一台の車を見て鍋島は動きを止めた。ー佐竹の車…。車のエンジンは切られ、中には誰もいない。深呼吸をした彼は周囲を見回した。顔を上げた先に見える職員室には1時半という時間にもかかわらず、煌々と電気が付いている。ー職員にバレないように学校の中に侵入なんてできっこない。あいつ...どこにいる…。鍋島は物陰に身を潜めた。ー深夜の学校で人目につかず待機できる場所…。グラウンド側から回りこんだク..

  15. 86

    120.1 第百十七話 前半

    118.1.mp3「思いっきり泣いて少しは気が済んだか。」落ち着きを取り戻しつつある麗にこう声をかけると、彼女はかすかに頷いた。「お前さんの扱いはワシの管轄じゃない。然るべき人間があんたを待っとる。」そういうと古田は時計に目を落とした。時刻は1時15分である。「佐竹さん。やわらやと思います。」「いよいよですか。」「この子らは安全な場所に移動させたほうがいいかと。」佐竹は頷いた。「相馬くん。」「はい。」「君らは今から職員室の方へ移動してくれないか。」「え?職員室ですか?」「うん..

  16. 85

    119.1 【お便り紹介】

    お便り 東京から聞いていますさん.mp3今回は東京から聞いていますさんのお便りを紹介します五の線60話/iPhone4/五の線2の過去エピソード視聴について/音声メディアについて/寒さ/このお話のオリジナルについて/

  17. 84

    119 第百十六話

    117.mp3「お待たせしました。」剣道場の中にいた者たちは咄嗟にその声の方を見た。「あぁ古田さん。」佐竹が答えると、古田もまた道場の正面に一礼してその中に入ってきた。「遅くなってすいません佐竹さん。ちょっと仕込みがありまして。」「首尾よくいきましたか。」「さぁ…どう転ぶかは運を天に任せるだけですわ。」「あなたが古田さん…。」相馬は思わず声を発した。古田は彼の前に立って口を開く。「はい。私が古田です。相馬さんこの度はご連絡ありがとうございました。」「あ…あの…。」「さっきも電..

  18. 83

    118 第百十五話

    116.mp3「相馬君。」「はい。」「君は熨子山事件に関心を示しているんだったね。」「え?」「一応、僕の耳に入っているよ。」「そ、そんなことまで…。」「済まないな。俺らの代のいざこざに君たちまで巻き込んでしまって。」「…。」「相馬くんだけじゃない。片倉さんも長谷部君も下間さんも。」その場にいた四人は佐竹と目を合わせないように顔を伏せた。「だけどもうすぐ決着をつけるから、心配しないで。」「え?どういうことですか?」「鍋島と決着をここでつける。」「え!?」佐竹は携帯電話を取り出し..

  19. 82

    117 第百十四話

    115.mp3どんな鬱陶しい気候でも涼し気な顔の鍋島であるが、今の彼は苦悶に満ちた表情であった。「はぁはぁ…。」山頂から金沢北高側の獣道を暫く降りると開けた場所に出た。ポッカリと大きな穴が開いているようにも見える、その漆黒の空間に白いペンキの跡が見受けられる。それは闇の天空に浮かび上がる月明かりの仕業だった。「え…。」鍋島の目にあるものが飛び込んできた。一件の朽ちた小屋である。ーな…なんだ…。ここもあの時のままじゃないか…。月明かりは小屋の側にある一台の原動機付自転車とセダン..

  20. 81

    116.2 第百十三話 後半

    114.2.mp3重い木製の引き戸を開き、壁に埋め込まれた照明スイッチを押すとそこは剣道場だった。「相変わらず(゚ν゚)クセェな。」剣道場から醸し出される独特の臭気に、佐竹は渋い表情を見せた。「あれ?」「なんです。」「へぇ道場にエアコン入ってんだ。」そう言って彼はそれの電源を入れた。「あ、俺のときにはもう入っていましたよ。」「あ、そうなの。」佐竹は道場正面に礼をして中に入った。相馬と京子もそれに続いた。「おい相馬。」「あ?」「俺らもいいんか。」「おう。一応正面に礼して入ってく..

  21. 80

    116.1 第百十三話 前半

    114.1.mp3ー見てられない…。お前…おまえは…クソだ…。ー村上…。心臓の鼓動と併せて激しい痛みが襲う頭を両手で抑えながら、鍋島は目を瞑った。3年前眠りに落ちた一色をおぶり、村上を残して山小屋を出た。そして周囲を覆う雑木林の中に入っていった。ーくそ…意外と重ぇぞ…こいつ…。暗闇の舗装も何もされていない獣道。ぬかるんだ地面に時折足を取られながらも鍋島は淡々と進んだ。暫くすると彼は熨子山の墓地公園に出た。ーこいつもここに眠ることになる。「う…。」居並ぶ墓地をすり抜けるように進..

  22. 79

    115 第百十二話

    113.mp3ーチッ…2時間後に来いって言っておきながら、どれだけ待たせてんだよ。北高のすぐ前にあるコンビニの書籍コーナーで興味もない雑誌を手にとっていた悠里が目を落とすと、彼の腕時計は23時を指そうとしていた。ーしかし、深夜の時間帯にも関わらず北高ってところはこんなに出入りが激しいのか。窓越しに見える金沢北高の職員室と思われる一角は煌々と電気が灯っている。ー鍋島のやつ、職員が残る学校なんかで何をしようっていうんだ…。金沢北高は学生に軍隊並みの厳しい規律を課している。それと同..

  23. 78

    114.2 第百十一話 後半

    112.2.mp3「ごくろうさん。」「ったく人使い荒ぇな。トシ。」熨子町のとある住宅の前で煙草を咥えていた古田の前に、同世代の男性が現れた。「俺も爺さんねんぞ。もうちょっとほら、依頼する要件を吟味せいま。」「いやいや。熨子山のプロである鈴木大先生以外に誰に頼めって言うんや。」「けっ。」「夜の山舐めんなってお前むかしワシに説教したいや。素人のワシが夜のあそこに入り込んだら間違いなく崖から転落、身動きとれんくなって凍死や。」「だら。こんなクソ暑いがに凍死なんかせんわい。」首に巻い..

  24. 77

    114.1 第百十一話 前半

    112.1.mp3「おっしゃー。」エンターキーを軽妙に押し込んだ黒田は、天井を見つめてそのまま両腕をだらしなく垂らし、背もたれに身を委ねた。片倉から提供されたネタを裏取りせずに、そのまま右から左へと流すだけの作業とはいえ大変な作業だ。なにせ情報量が尋常じゃない。まるで洪水のようだ。黒田は疲弊しきった脳をひとまず休ませるように目を閉じて深呼吸をした。ーもう何も考えられない…。彼は部屋の壁のシミを見つめた。ー公安か…。姿勢を正して黒田はブラウザを立ち上げた。ーあいつらは何もかもが..

  25. 76

    113 第百十話

    111.mp3藤堂豪の行方を追う金沢北署の捜査本部にはめぼしい情報が入っていなかった。ー発生署配備に止めろって…本部長はいったい何考えとるんや…。普通広く網かけて、だんだん狭めていくやろいや。始めっから絞って何なれんていや…。岡田は頭を抱えた。「課長。」若手捜査員が岡田の前に立った。彼はスマートフォンを手にしている。「何かとんでもない事が起こっとるみたいです。」「あ?」小声で囁いた捜査員は岡田にスマートフォンを手渡した。「え…?」それを覗き込んだ岡田は息を呑んだ。ー何やこれ…..

  26. 75

    112 第百九話

    110.mp3自分以外誰もいないドットメディカルの廊下。暗がりの中、今川は足を引きずるように歩いていた。ー執行部と朝倉…。どっちかをとれって言われればそれは前者以外にあり得ない…。だが…。自室の扉を力なく開いて中に入った彼は、そこにあるソファに見を預けた。そして自販機で買ってきた缶コーヒーの蓋を開け、それに口をつけた。甘いコーヒーが喉を伝って胃に送り届けられる。同時に糖分が染み渡り、それが血管を介して自分の脳に送り届けられるような感覚を彼は抱いた。「はぁ…。」思わず深い溜息が..

  27. 74

    111 第百八話

    109.mp3バスの中から外を眺めていた彼は丸型のサングラスを外し、ポケットの中からフォックス型のものを取り出してそれをかけた。ーさっきからパトカーがうろついている。数が尋常じゃない…。「おい。これ見たか。」「なんやって。」「え?おまえ知らんが?」「だから何やって。」「ほら。」彼の前に座る学生風の男子がもう一方の男子に自分のスマートフォンを手渡した。「熨子山事件?」「おう。」「え?これ何やったけ?」「え…おまえもう忘れたんけ。」「え、何の事件け。」「うっそやろ…ほら3年前にあ..

  28. 73

    110.1 【お便り紹介】

    お便り 明けと鯖さん2.mp3今回は明けと鯖さんからのメッセージを紹介します。一週間お休みの件/スピンオフ/体調

  29. 72

    110 第百七話

    108.mp3「え?相馬周が?」「はい。突然私の家に電話かかってきて、古田さんを紹介して欲しいと。」「…そうですか。」「これもアレですか?」古田は懐に忍ばせてあった封筒の中から便箋をとりだして、それに目を落とした。「…わかりません。ほやけど西田先生。おたくの教え子がワシの素性に気がついたのは確かや。」「そうですね。」「一般人が警察関係者に用事があるときは何かの困り事を抱えとるって相場は決まっとる。」「ええ。」「市民が困っとる状況をワシは放っておけんですわ。」「じゃあ。」「ワシ..

  30. 71

    109 第百六話

    107.mp3次々とブログによって明らかにされた工作活動の実態に、麗は観念した様子だった。しかしその表情はどこかさっぱりとしたものだった。「このブログに出てくるSは下間芳夫。私のお父さんよ。」運転席に座る長谷部も、後部座席の相馬も京子も何の言葉もかけることが出来なかった。「この中に出てくる仁川征爾は私の兄さん。下間悠里。仁川征爾は長谷部君も相馬君も見たことあるはず。」「え?」「コミュのインチョウのことよ。」「ま…マジ?」「ええ。ドットスタッフ社長。仁川征爾よ。」「え…。」長谷..

  31. 70

    108 第百五話

    106.mp3両目をこすり、首を回したところに机の上に置かれていた携帯電話が光った。「片倉さんすいません。キャッチです。」「手短に済ませれ。」「はい。」携帯を手にした黒田は表示を確認した。見覚えのない番号である。「あー丁度いいわ。ちょっとだけ休憩させてもらうわ。終わったら電話くれ。」そう言って片倉は電話を切った。誰からのものか分からない電話であるが、疲労が溜まってきた黒田にとって、この電話のおかげで自分に休息がもたらされたのは間違いない。彼はとりあえずそれに出た。「はい。」「..

  32. 69

    107 第百四話

    105.mp3「ちょ…。このSってまさか…。」長谷部は絶句した。隣りに座る麗はため息を付き、重い口を開いた。「凄いわね。完璧よ。」「え?」「私たちのこと調べあげている。」「長谷部。その先もちゃんと読め。」後部座席の相馬がこう言ったっため、長谷部と麗は記事を読み進めた。<S 再び>いまから15年前の新月の暗闇の中、夜釣りに出掛けていた中年男性が妙な光景を目撃したと警察に届け出てきた。釣り道具を抱えた高校3年程の風貌の少年が暗闇の中ひとり肩を抑えて漁村の中を歩いていたというものだ..

  33. 68

    106.2 第百三話 後半

    104.2.mp3先の記事でツヴァイスタンの工作員が登場した。彼は鍋島惇への資金提供を行い、日本国内での協力者(エージェント)として利用した。熨子山事件から横道に逸れるようだが、これを機に今一度ツヴァイスタンと言う国と工作員(スパイ)についての記事を書きたい。<ツヴァイスタンとスパイ防止法>ツヴァイスタン民主主義人民共和国は中央アジアの共産国だ。一党独裁の政治体制を敷く共産国ネットワーク(通称CN)の主要国でもあり、基本的に自由主義経済権との国交はない。ツヴァイスタンは自由主..

  34. 67

    106.1 第百三話 前半

    104.1.mp3「片倉邸から出てきた周と京子は、相馬の家に入りました。」「そうか。」「片倉邸の警備はどうしますか。」「カラの家の警備は必要ないだろう。」「では撤収させます。」警察庁の一室にいた松永は耳に装着していたイヤホンを一旦外し、小指で中をカリカリと掻いた。「理事官。」一緒に部屋に居た部下が彼の名前を呼んだ。「どうした。」「現場が動き始めたようです。」「おう。」松永は再度イヤホンを装着した。「熨子山事件に関する記事がアップされはじめ、それがSNSによって石川県を中心に拡..

  35. 66

    105.2 第百二話 後半

    103.2.mp321時になろうとするドットメディカルの一室にはまだ明かりが灯っていた。パソコンと向き合う今川は時折送られてくるユニコードを変換し、それに返信をする作業をしていた。Это тот факт, что Юрий знает о местонахождении Набэсима.ユーリは鍋島の居場所を把握しているということだな。возможноおそらくは。Является ли капитан знает подробности?キャプテンはその詳細を把握している..

  36. 65

    105.1 第百二話 前半

    103.1.mp3「え…い・岩崎さん?」横に座っていた京子は相馬の第一声に驚きを隠せない様子だ。「あ…おじゃましました。」相馬は電話を切ろうとした。「待って。」「え?」「…ありがとう。」「え…。」「相馬くんが言ったとおり、自分だけを見てくれる人に私の思ってること話した。」「あ…おう…。」京子が相馬の顔を覗き込む。彼は彼女に頷いてみせた。「けど…。」「けど?」「彼…私の隣で戸惑ってる。」「…え…ちょ…待って…。」どういうことだ。自分の思いを告げたならば後はその返事を聞くだけだ。..

  37. 64

    104.2 第百一話 後半

    102.2.mp3ーツヴァイスタンの下間宅ー「はぁはぁはぁはぁ…。」息を切らす下間悠里の目の前には、家政婦とその子供の無残な遺体が転がっていた。「に…兄さん…。」悠里の背中に麗は声をかけた。「来るな…はぁはぁ…。」「兄さん…。」「うるさい!!」持っていた鍬を悠里は力なく床に落とした。麗は悠里がいる部屋の様子を見た。あたり一面に血しぶきが飛び散っている。悠里にも大量の返り血のようなものが付着していた。「お…お母さん…。」「黙れ!!」麗の身体が震え出していた。その時である。家の扉..

  38. 63

    104.1 第百一話 前半

    102.1.mp3「私の名前は下間麗。」「は?しもつま?」麗は頷く。「下間って…本当にあの原子力工学の下間の…?」「そうよ。そして私は日本人じゃない。私の国籍はツヴァイスタンなの。」「ツヴァイスタン?ツヴァイスタンってあの…ツヴァイスタン?」「そう。ツヴァイスタン人。日本とは国交を持っていない中央アジアの貧しい国よ。私はあそこで下間芳夫の娘として生まれた。」長谷部の携帯が止まった。「私の父さんも母さんもれっきとした日本人なんだけど、ある時期からツヴァイスタンに行っちゃって。私..

  39. 62

    103 第百話

    101.mp3相馬と京子はリビングのソファに掛け身体を寄せ合っていた。「お母さん何も言ってこんね…。」「いいげん。このままが良い。」相馬は京子の頭を撫でた。その時である、京子の携帯の画面が光った。「あ、携帯光った。」「え?」京子はそれを手にしてすぐにそれをテーブルに戻した。「何や?」「どうでもいいやつ。」「どうでもいいやつ?」「うん。SNSの通知。」「え?いいが?」「だって付き合いだけで入れとるもん。しばらくアプリ起動しとらんかったら、友達がこんなこと書いとるからウォール覗け..

  40. 61

    102.1 【お便り紹介】

    お便り いぬおとこ三郎さん.mp3今回はいぬおとこ三郎さんからのお便りを紹介します。エピソードのアーカイブについて/SeesaaとWEBサイト/短編物語闇と鮒では皆さまのお便りを募集しています。お気軽にウェブサイトからご投稿下さい。よろしくお願いします。

  41. 60

    102 第九十九話

    100.mp3「なんだ…何やってんだ…。」車を運転しながらスマートフォンに表示される鍋島の位置情報をみた悠里は呟いた。鍋島のGPS情報は金沢市内のとある住宅の極めて狭い範囲を移動していることを表示していた。「こんな狭い範囲うろついていたら、直ぐに顔が割れて警察にパクられるぞ。」彼は赤色で点滅するそれを拡大表示させた。よく見るとその表示は隣り合う家と家との間を通り抜けるような動きをしている。「おかしい…。」一旦車を路肩に停車させそれを手にとった時のことである。路肩の植木の中から..

  42. 59

    101.2 第九十八話 後半

    99.2.mp3「はい…ええ…そうですか…分かりました…。」電話を終えた古田は首を回して凝った肩をほぐした。「どちらからですか。」「いや、ちょっと…。」「まさか課長からですか。」「いや。」「いいじゃないですか警部。」パソコンを睨んでいた冨樫が神谷の詮索を止めた。「ねぇ古田さん。」古田はニヤリと笑って冨樫に応えた。「あ…冨樫さん。」「マサでいいですよ。」「あぁマサさん。ちょっと検索して欲しいんやけど。」「なんでしょうか。」「平仮名で『ほんまごと』っちゅうサイトねんけど。」「『ほ..

  43. 58

    101.1 第九十八話 前半

    99.1.mp3「片倉さん。スタンバイOKです。」部屋の鍵をかけた黒田はこう言ってパソコンの前に座った。「よし。まずはお前に俺の身分を明かす。」「え?」「俺は公安や。商社マンじゃない。」「え…公安…。」タイピングする黒田の手が止まった。片倉の背景に何か大きなものが動いている。彼がそう感じたのは当たっていたようだ。「悪かったな今まで嘘ついとって。」「嘘...っていうか…。」突然の告白を受けた黒田が衝撃を受けなかったといえば、それもまた嘘となる。しかしこの時の彼は衝撃よりもむしろ..

  44. 57

    100 第九十七話

    98.mp3金沢北署の正面入口を駆け足で通過して階段を登った先に「金沢銀行殺人事件捜査本部」が設置されている大会議室があった。彼はその扉を勢い良く開いた。「あっ!!課長!!」本部に詰めている所轄捜査員たちが一斉に岡田の方を見た。「どうなってんだ。」「…どうもこうも。こっちが聞きたいくらいですよ。課長っていきなり姿消すんですから。」「あ?お前ら署長から何も聞いとらんがか。」「え?署長ですか?」「おう。」岡田は部屋の様子を見回した。捜査本部長である若林が座るはずの席は空席である。..

  45. 56

    99 第九十六話

    97.mp3「一色さんがお父さんの上司やったってわかったんは、熨子山事件が起こってからの話。あの事件が起こってあの人が一色さんに関わるなって言っとったんは当たっとったんやってわかった。」「…そうやったんや。」「周、あの事件起こった時、一色さんは特に関係ないって無視したやろ。」「おう。」「んで冷たいとか皆に言われたがいね。」「うん。京子ちゃんにも言われた。」「うん…。あの時はごめん…。今になって何なんやけど。この前西田先生が言っとったみたいに、周のあの時の判断は正しかったと思う..

  46. 55

    98.1 【お便り紹介】

    お便り ハチノホヤさん3.mp3今回もハチノホヤさんからのお便りを紹介します。4月と6月に頂いたお便りをまとめて紹介します。闇と鮒では皆さまのお便りを募集しています。お気軽にウェブサイトからご投稿下さい。よろしくお願いします。

  47. 54

    98 第九十五話

    96.mp3正確に言えばものの3分程度の間だ。しかし女の涙というものを経験したことがない彼にとっては、京子の顔が自分の胸の内にあるという時間は途方も無く長いものに感じられた。「お父さんに近づけると思った...。」相馬の胸に顔を埋めたまま、彼女は消え入るような声を発した。「え?」「お父さんが何を考えとるんか、少しでも分かればいいと思って引き受けてん...。」「え?何のことけ?」「一色さんの手紙の件。」ごめんと言って彼女は相馬の手を解き、テーブルに置かれていたティッシュを何枚か引..

  48. 53

    97 第九十四話

    95.mp3「まだ帰ってこんがか。」山県邸に張り付いたままの岡田は前方を確認し、車内でコンビニのおにぎりをかじった。「うん?」彼の車の前に一台のワンボックスカーが止まった。そのため岡田の視界は塞がれた。「まずい。」岡田はエンジンを掛け、場所を移動しようとした。その時である。ガッシリとした体つきのスーツ姿の男が二人、ワンボックスカーから降りて岡田の側に駆け寄ってきた。「何や…。」ひとりが岡田の車の後ろに立ち、彼の車は瞬く間にワンボックスカーと人間によって前後を抑えられ、身動きが..

  49. 52

    96 第九十三話

    94.mp3「おそらく今川が想定する執行部の上層部は、そのユニコードっていうシロモンを簡単に扱うことができる人間ねんろ。OTP(ワンタイムパッド)なんかでチマチマ変換作業するほど余裕が無い。今川はその相手に至急連絡をとって、確認をしたかったんや。」古田は部屋の畳にどっかと腰を下ろし煙草を咥えた。「まぁその理由を詮索するほど、今はこちらも余裕が無いんですわ。」「と言うと?」「やわら反撃の狼煙が上がる。」「え?」「警部。こっからは予定もクソもありませんよ。時間との闘いや。」そう言..

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    95 第九十二話

    93.mp3県警本部の通用口を経由した古田はエレベータを降りた。カタカナのロの字になっている階の角をひとつ曲がると、そこには警備部長室があった。在室のランプが灯っている。古田は扉をノックした。「失礼いたします。」大きな机の向こう側に土岐が何やら険しい表情で着席していた。土岐に向かって左側の壁には日章旗が掲げられている。反対側の壁に掛けられた時計の時刻は19時を指し示していた。「俺は忙しい。手短に済ませろ。」「片倉さんからお聞きかと存じますが、彼は捜査をワシに一任しました。」「..

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【1話から全部聴くには】http://gonosen2.seesaa.net/index-2.html 熨子山連続殺人事件から3年。金沢港で団体職員の遺体が発見される。他殺の疑いがあるこの遺体を警察は自殺と判断した。相馬は、その現場に報道カメラのアシスタントとして偶然居合わせた。その偶然が彼を事件に巻き込んでいく。石川を舞台にしたオーディオドラマ「五の線」の続編です。※この作品はフィクションで、実際の人物・団体・事件には一切関係ありません。 【公式サイト】 http://yamitofuna.org

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闇と鮒

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